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技術委員会/草薙体育館見学会

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「これはスゴイ建築だ!」

平成26年7月3日
広報委員   永田 章人

静岡県、内藤設計、鹿島建設のご厚意により、建設中の草薙体育館を見学してきました。

①構造がスゴイ!
重さ2500トンの鉄骨トラス屋根を256本の大断面集成材が支え、メッシュ状の鉄骨ブレースが水平力を負担する。
さらに足元はリング形状のコンクリートにテンションをかけ、それらをガッチリ受け止めている。
 このコンクリートリングは上部木部への火災延焼を食い止める「火炎返し」の機能も兼ねている。
また、基壇のRC造部分とは中間免震装置で切り離すことで上部構造を安定させ、構造を成立させている。
シンプルな構造論理を最新の解析技術により実現しているこの建物は世界的にも秀逸なものだと感じました。

②施工がスゴイ!!
 RC造の基壇をつくった後、屋根を先行して組み立てていく。
この時に屋根を支える「ベント」という仮設柱状支保工がスゴイ。今まで見たことのないものでした。
現場内に足を踏み入れると、建築現場というより造船場にでも来たかのように錯覚します。
屋根が出来ると、いよいよ県産スギ同一等級材という、まさに大トロのようなラミナ集成材の柱を取り付けていき、メッシュ状のブレースで仮止めしていく。
全ての架構ができると、「ジャッキダウン」という工程で屋根の荷重がベントから木の柱に移される。
 なんという感動的な施工現場なんだろうと、かつて無い体験をしました。

③木材調達がスゴイ!!!
この建物を特徴づけている最大のポイントは木材の大胆な利用方法にあると思います。
256本、長さ14.7m、360×600mmの断面からなる集成柱材は天竜スギを約800立米使用しています。
設計者である内藤廣さんがプロポーザル時から「スギに無理をさせない」とおっしゃっていましたが、構造理論はもちろん、製材からラミナ製造まで一貫して無理をさせないように同一断面、同一長さで計画しているところがスゴイと思います。
木材調達から製造まで一貫して受けている業者さんのお話では、工事の約2年前に山を押えて伐採したそうです。
設計も出来ていない時点から材料を確保しなければならない事情こそ、大規模木造の最大の課題であると思われます。
今後、この建物をはじめとして、東京オリンピックに向けて多くの大規模木造建築施設がつくられると思われますが、木材調達についての公的なルール作りが喫緊の課題であると感じました。

草薙体育館見学

草薙体育館見学

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